八雲家の不思議なダンジョン

「お題編」

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   風見幽香 様

     ラミア蛇革のパンツ 防御力+10 カップ:D S度+40

     ラミア蛇革のブラ  防御力+12 S度+17

     腐海蟲ヘビケラの翅キャミソール 防御力+4 魅力+9 素早さ+4

     鴆(ちん)(毒鳥)の卵殻膜ブラウス 防御力+4

     猪婆竜革ベスト   防御力+50 力+8

     猪婆竜革スカート   防御力+45 力+2

     大女郎蜘蛛の革タイ  防御力+10 S度+14

     ウスバカゲロウ(薄馬鹿下郎)の繭靴下 防御力+5 S度+18

     蠍の革靴     防御力+15 S度+8

     霊亀骨と大蝙蝠革の傘 防御力+60 優しさ+6 厳しさ+9

         以上 十品 を納品させていただきます。

                                よろづ道具 香霖堂

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「座りなさい」

何故だろうか?

「そこに座すわりなさい!」

僕はこんなに頑張ったというのに。

「はぁ・・・これが、こう、自由にさせた貴方の・・・結果というか」

苛立ちを抑えるような、力任せでは意味がなく口で負かしたいという様子で。

「これが、そうなのね?」

風見幽香はご立腹のようだった。

「これが貴方にとっての私に似合う服なのね?」

何がまずかったのだろうか?

言われた通りに仕立てた彼女に似合う服。

しかし、ぱっと見ではいつもの服と変わらなく見える様に加工して仕立てたというのに。

彼女の衣類を一通り全部仕上げろと言うから頑張って仕立てたのだ。

ショーツとブラジャー。

キャミソールにブラウス。

ベストにスカート。

靴下とパンプス。

タイと日傘。

精魂籠めて妥協せず。

見た目だって前の服と同じに見えるようにと生地の染色もこだわった。

今、目の前にいる彼女は、以前と同じ服装に見える。

彼女はどうやら頭痛を堪えるのに忙しいようなので、僕の頭にも少々時間的余裕が生まれた。

何がいけないのか、事の起こりから思い出してようく考えてみるとしようか。

何せ大妖怪風見幽香の機嫌を目下損ねているのだから、ここは一つ走馬灯としゃれ込むのがこの僕の生き様というものではなかろうか?

そう、あれは二月ほど前の事だったな。

「こんにちは、香霖堂」

ふらりと現れた風見幽香がこう言ったのだ。

「私の服を仕立てて頂戴、身に着けるものを全部。下着から靴まで、ああ、そうそう。日傘もね」

「随分といきなりだね。一部でなくて丸々全部だなんて。株分けで分裂でもするのかい?」

実に奇妙な注文だと思ったものだ。

予備の服だとかはともかく日傘もだとは。

確かに弾幕ごっこのせいで服が損壊する事も間々あるだろう。

だが、ちょっと服が解れたとかなら一部を買い換えるだけの筈だ。

ベストが痛んだならベストを。

まあ、彼女の場合はベストとスカートがお揃いになっているようなので、例えばベストを買い換えるときにはスカートも買い換えそうだが。

「私は貴方と違って分裂なんて出来ないわ」

僕だって出来やしない、と思わず答えそうになって慌てて口を噤んだ。

出来ないなどと答えたら、じゃあ試してみましょうか、と返されるに決まっているのだ。

にこにこ笑うあの顔の目は、きっと獲物が罠に掛かるのを待っている。

「しかし何でまた丸々注文なんだい?」

「弾幕ごっこのせいよ。お陰で人間を追い払うのも簡単になったけど、その分気軽に勝負を挑まれてる気がするわ」

その人間とやらに大いに心当たりがある。

「服も簡単に傷んでしまうもの。ここらで予備を丸ごと作って、予備がなくなったらその度に補充していこうと思ったのよ」

「なるほど、合理的だね」

プライドの高い彼女の事だ、自分の力に耐え切れなかったとか言う話ならともかく、ダメージを受けるから予備を用意しておくと言う考え自体屈辱的なはずだ。

笑っていても機嫌は悪いと見て間違いないだろう。

む?

となると、彼女の服の予備を仕立てるたびに、機嫌の悪い風見幽香に付き合わなくちゃ行けないのか?

荒事の苦手なこの僕が?

冗談ではない。

まるで千夜一夜の王様ではないか。

いや、更にたちが悪い。

なにせ海千山千の大妖怪、面白い話程度で誤魔化されてくれはしないだろう。

千一夜目に一夜目と同じ話をしたら「たかが千夜前の話も忘れているほど私の頭は悪いと言いたいのかしら」とかいって殺されかなない。

「香霖堂?」

「えっ、ああ、なんだい?」

いけない、状況を読むあまり、少々上の空になってしまった。

「そういうことだから、宜しく頼むわね」

「わ、分かった。僕の技術の粋を集めて作り上げて見せよう」

「出来上がったら呼んで頂戴。ただし私が痺れを切らさないうちにね」

そういって風見幽香は店から出て行った。

「作り上げて見せないとな僕の技術の粋を集めて、彼女がこれ以上予備を仕立てなくて済むような、そんな装備一式を」

そうと決まれば早速構想を練らないと。

材料調達は魔理沙にも手伝わせよう。

きっと責任の一端位はあの子にもあるはずだ。

「風見幽香の嗜好にぴったりで、彼女のプライドを満たす、頑丈な逸品を!」

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