無銘覗鏡写本

幻想郷で唯一外の世界の道具も扱う香霖堂店主森近霖之助。
人間と大して変わらない身体能力だが、人間では生きられない長い時間を過ごしてきた。
人間に近い感性のまま生きてきて、そろそろ人生に倦怠感を感じ始めたころ。
しかし様々な煩悩もまだまだ感じられる。
野心を燻らせることもあり、
気の進まないことに手を抜くことを望む自堕落な感情もある。
生来の性分もあるのだろうが中途半端に人間の感性を持ち、達観に至れない彼。
そんな森近霖之助が巻き込まれたとある話。
一冊の白紙の本から始まる奇妙な事件。
悟りと達観を気取った男が、煩悩を思い出しつつも気取りゆえに燃えきれない。
己の半端にひとまずの折り合いをつけるまでのお話。

「そんなのこーりんじゃないぜ。
キモこーりんだな」

「チッチッチッ、私は魔法だけの女じゃないんだぜ」

「おいおい、私は日記なんて書いてないし、小説なんて書いた事もないぜ?」

「なあ、許してくれよ、こーりん。私の宝の鉄屑あげるから、な?な?」

「霊夢には小難しい事なんて向いてないぜ。いつも通り勘で判断すればいいのさ」

(魔理沙、魔理沙。起きなさいよ、霖之助さんの薀蓄終わったわよ)

「服が破れちゃったのよ。直してくれない?」

「アンタの手癖の悪さの原点を見た気がするわ……」

「無理よ、霖之助さん空飛べないじゃない」

「ええっと……要するに落ち込んでるから励ましてあげればいいの?」

「……私、
偶に霖之助さんの事が分からなくなるわ」

「ねえ、私の手がそんなに珍しいかしら?」

「紅魔館に相応しい価値ある逸品は?

「げげっ、ちょっと待った。それに触るんじゃないよ!」

「いやいや、
詫びも受け取ったことだし、リベンジに来たら丁度面白そうなことになってるからさ。つい」

「…………み、見られたぁ……」

「自覚はあるのね?香霖堂さん」

「はあ……霊夢、貴女達って本当にお馬鹿ねえ」

「ふふ、いつも子守ご苦労様」

「はい、どうぞ」

「結構気に入っているのよ、ここも貴方も」

「お客様は神様なんだが、問題はなぜ祟り神と化したのか、だな」

「これはきっと、盗聴器とか言う外の世界の式神を使ったに違いない!」

「これはサーチライトという外の世界の道具さ」

「怖かった、長く住み慣れたあの店が、急に怖くなった」

「何故、僕を助けてくれるんだ?」

前半コミカルに、後半シリアスに。
魔理沙分、霊夢分、紫分、スーパーキバヤシこーりんタイム有ります。

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